The last ...? (25)
どちらかというと華奢な体の、一体どこからそんな力が出るのか……ほとんど抵抗らしい抵抗もできないまま、力ずくで引きずられていった先は――彼のベッドだった。
「ぃ……っ……たっ!」
無造作に投げ飛ばされ、上半身だけうつ伏せになった状態で私はベッドの上に倒れこむ。
「…ぐっ」
背中にかけられた重みで、彼が私の上に馬乗りになっているのがわかった。
初めて彼から受けた乱暴な扱いに対する恐怖から、知らずに頭を庇っていたらしく、頭上に上がっていた右手首をとられ、カシャリ、と音を立てて何か暖かいものが取り付けられた。すぐに左手首にも同じ感触がして………気づいた時には、両腕が拘束されてしまっていた。
「ふふ、かわいいでしょう?」
耳に吹き込まれた声に視線を上げれば、目に飛び込んできたのは――両手をつなぐ白いふわふわした………な、んだ? これわ。
「……毛皮?」
「フェイクファーですけど。これだと、多少暴れても手首に痕がついたりしませんし、」
何より、かわいいでしょ?
「……これ………って、……まさか、手錠?」
「そうですよー。この白いのと豹柄と、どちらにしようか迷ったんですけど、」
やけに明るい声が、背筋を凍らせる。
「や……めっ…」
「今日のドレスには、やっぱりこっちのほうが良く似合いますね〜」
言いながら、愛しげに腕を、背中を、滑っていく彼の指。身を捩ってその刺激から逃れようとしても、背中に乗った彼の重みでそんなわずかな動きさえ封じられてしまうのが……かえって快感を強めてしまうのか、
「ぁ……ゃ…」
いつもなら出ないはずの声が漏れてしまうのが止められない。
「少し震えてますね。緊張してます? ああ、……もしかしてセンセイってば、いつもより、いっぱい感じちゃってます?」
あーあ、もう、こんなにびちょびちょにして。
「おしりのところだけ、ドレスの色が変わってますよ」
くすくすと笑いながら、その部分を撫で回されれば、彼の言葉通りに冷たい布地の感触がして――恥ずかしさに耳の先まで血が上ったのがわかる。
「手錠プレイは、まだしたことなかったので、ちょうどいい機会だと思ってですね、」
「………てじょう…ぷれ…い?」
「あー……手錠プレイ、ご存知ありませんか? もちろん教科書や参考書には載ってませんけど、これくらいは大人の常識だから、覚えておかなくちゃね」
つまり、平たく言うと、セックスのバリエーションっていうか、
「うーーん……まぁ、百聞は一見にしかず、っていうことで、体験してみたらわかりますよ。ああそう言えば、前にローションを使いましたよね? あれもプレイのひとつですよ」
「今日は、手錠を使って、ソフトSMとかどうかな〜って思ってるんですけど、」
直接言葉を吹き込むように熱い息で耳元を擽られ、
ひく、と反応した瞬間、
「いっっ!!」
急に首筋を強く噛まれ、全身を電流が走った。
予期せぬ痛みに涙が滲む。
今度は同じ場所を舌で丁寧に舐られ、耳朶を、のどの柔らかいところを甘噛みされ、
「んっ、やっ…」
甘い刺激に体が緩んだ。
そこへ聞こえてきた彼の台詞に――清水君とのことを利用しようとしたことを、早くも私は後悔し始めていた。
「だって、僕という恋人がいながら他の男とホテルに行っちゃう悪い子には、お仕置きが必要でしょう?」
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